<ボクシング:WBC世界フェザー級タイトルマッチ12回戦>◇29日◇福岡市・九電記念体育館◇観衆3000人
日本人史上最年長の35歳24日の世界王者が誕生した。同級5位の越本隆志(35=Fukuoka)が、王者の池仁珍(32=韓国)を2−1の判定で破り、2度目の世界挑戦で王座奪取に成功した。年齢と右肩の故障を乗り越えての戴冠で、元世界スーパーウエルター級王者の輪島功一の持つ32歳9カ月の日本人最年長世界王者奪取記録を大幅更新。フェザー級での世界王者誕生は柴田国明以来36年ぶり3人目。父英武会長(62)との父子鷹での世界タイトル獲得も国内初の快挙となった。
14年間待っていた瞬間がきた。「勝者、越本」。新王者は体を震わせて、傍らの父に抱き付いた。腫れた顔を涙が伝う。「信じられない。うれし涙を流せることを、35年間生きてきて初めて知った」。年齢、地方のジム、そして不利の予想…。数々の苦境をはね返し、ついに35歳でベルトをつかんだ。
「強打の王者VS技の挑戦者」。その大方の予想は見事に裏切られた。越本は華麗なステップで右に回り込む得意のスタイルを封印した。初回から手数の池を左ストレートで迎え撃った。「これが挑戦者としては最後。何度倒されてもあきらめないつもりだった。悔いを残したくなかった」。
5回から王者が猛然と前へ出てきた。ロープに詰められ、何度も連打を食った。10回には鼻血を出した。11回にはバッティングで右目の上を切った。それでも前へ出た。ラッシュを仕掛けた。「王者の息が上がっているのが分かっていた」。冷静さも失っていなかった。14年間の集大成のボクシングだった。
判定は2−1。11回のバッティングによる池の減点がなければ引き分けとなり王者の防衛だった。挑戦者の気迫と執念は、勝負運も味方につけた。「自分を信じて集中しろと声をかけた。内容は50%。でも闘志は100%」。父でもある英武会長も精神力の勝利を強調した。
35歳の肉体は満身創痍(そうい)だった。00年10月。右肩けん盤を断裂した。重傷だった。「手術しなければ引退」。プロ野球選手を数多く診察した医師に宣告された。年齢的にも手術する時間はない。越本は患部を筋肉で「武装」する道を選んだ。体のケアの専門家や筋力トレーナーらによるサポート集団が結成された。鋼のように固い意志で体をつくり上げた。
輪島功一の最年長世界王者奪取記録を2年3カ月も塗り替えた。同時に輪島の持つ33歳0カ月の最高齢世界王者記録も更新した。だが夢はこれで終わりではない。「肩の痛みさえなければ、40歳までいける」と篠原トレーナーは太鼓判を押す。「防衛してこそチャンピオンでしょう」と越本。日本最年長世界王者の記録は、まだまだ更新されそうだ。【村田義治】
[2006/1/30/08:54 紙面から]
写真=12回、顔面を血に染めながら越本(左)は池に左ストレートを決める
<ボクシング:WBC世界フェザー級タイトルマッチ12回戦>◇29日◇福岡市・九電記念体育館◇観衆3000人
同級5位の越本隆志(35=Fukuoka)が、王者の池仁珍(32=韓国)を2−1の判定で破り、2度目の世界挑戦で王座奪取に成功した。
越本英武会長(62)が父親の顔になった。リング上で歓喜の涙にくれる息子の姿を見て、笑いながら泣いた。30年以上に及ぶ2人だけの苦難の日々がよみがえる。「小さいころのことを思い出すと…。本当にうれしい」。絞り出すような声で言った。
越本が2歳のときに離婚した。以来、福岡中央ジム(現福岡帝拳)のトレーナーを務めながら、男手ひとつで1人息子を育てた。5歳のころから試合会場に連れて行ったが、世界王者にするつもりはなかった。「ボクシングを通じて心と体が鍛えられればと思った」。
独立してジム創設を決意した85年の冬、息子をすし店に誘った。「2人で力を合わせようやないか」。この一言で、当時野球部に所属していた越本は、ボクシンググローブを手にした。二人三脚の挑戦がスタートした。映画ロッキーのテーマ音楽をカーステレオで流し、息子のロードワークに車で伴走した。
父の苦労を察して、越本は1度も物を欲しがったことはなかった。しかし、ボクシングを始めてからは、親子ゆえの衝突もあった。高校卒業後、厳しい指導に反発して2年半も家出したことがある。待ち続けた父は言った。「じっくりやろうやないね」。21歳でプロデビュー。ここまで42戦もの試合を積み上げた。
ジム会長を父に持つボクサーが初めて世界王座を手にした。試合後の控室、父はポツリと言った。「これまでの苦労を知る神様がプレゼントしてくれたんでしょう」。今でもジムの上の自宅で、息子のために食事をつくる。「日本一の父子鷹」が世界の頂点に上り詰めた。
[2006/1/30/08:54 紙面から]
写真=「オレの最高のおやじを見てくれ」。越本は父でありセコンドであり会長でもある英武氏をリング上でたたえる(撮影・梅根麻紀)
上記とも 日刊スポーツ
その頃、私の携帯へ当website特派員Kan☆○○○○氏からメールが入った。
内容は、越元のタイトル奪取の瞬間を目の前にしたらしい!
この試合をテレビの前で見た人もいると思うが
やはり「生」にはかなわない!それもリングサイド!!!!!!!!
以下Kan☆○○○○氏提供
報道カメラマンと同じ位置
待機中 そおぉれっ あぁらよっと
一風堂